強迫性障害の治療ガイドライン
行動療法は薬物療法よりも改善率が高い。また効果不十分だった薬物療法も行動療法と併用すれば効果を増強できる。一方,OCDに対する行動療法の専門施設は数が限られ,地元には施設がない場合が多い。また,改善率や治療期間,対象にできるOCD症状などについて治療者毎のバラツキが大きい。たいていの行動療法家が不潔恐怖と洗浄強迫行為の患者を治療できるが,侵入思考・思考恐怖と心の中の強迫行為の儀式の患者は治療できない場合がある。また行動療法専門の施設に紹介された患者の中でも1/4程度は結局,行動療法を最後まで行えない(岡嶋美代 & 原井宏明, 2008; 原井宏明, 2005)。患者が行動療法を受けるかどうか迷う場合は次の表を用いて説明することができる。
表3 行動療法と薬物療法のメリット・デメリット
母乳の赤ちゃんの疝痛を起こす食品
新生児にきびの写真
新しい肥満ジーランドの子<table class="Table1 MB20" cellpadding="0" cellspacing="0" summary="表3 行動療法と薬物療法のメリット・デメリット" >
療法
うつや社交不安,心配性,
月経前緊張症などOCD以外の
他の症状も改善する
症状改善は50%程度
薬を止めると元に戻る
何年と受診を続ける必要があり,
薬代がかかる
療法
薬物なしで行動療法を行い,独力でも行える
ようになれば受診が不要になり,再発もない
2,3ヶ月間の毎週〜隔週の受診が必要
健康保険外の費用がかかることがある
1/4程度の方はできない
専門施設は,ネットで"強迫性障害 行動療法 医療・心理機関リスト"などのキーワードを用いて検索すれば探し出すことができる。大半の施設が予約制になっており,予約受付から初診まで1,2ヶ月かかることがある。
筆者の施設では2ヶ月間に数回受診することで寛解基準まで到達することを目指した外来集中集団プログラムを行っている。ERPは土日を利用して集中的に行う。治療者が朝から夜まで付き添い,2日間に駅コンコースや商店街などを利用して,公衆トイレやコンセント,鍵,忘れ物などに対するエクスポージャーを行う。そしてこの二日間は強迫行為が禁じられる。短期集中的に行うことによって治療が早く進み,集団で行うことによって同時に種々の強迫症状に対して治療することと,仲間意識を利用した行動療法への動機づけができる。OCDに関して1ヶ月に十数名の新患を受け入れており,1ヶ月程度の待ちで受診することができる。
文献
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Eisen, J. L., Goodman, W. K., Keller, M. B., Warshaw, M. G., DeMarco, L. M., Luce, D. D., et al. (1999). Patterns of remission and relapse in obsessive-compulsive disorder: a 2-year prospective study. J Clin Psychiatry, 60(5), 346-351; quiz 352.
Foa, E. B., Liebowitz, M. R., Kozak, M. J., Davies, S., Campeas, R., Franklin, M. E., et al. (2005). Randomized, placebo-controlled trial of exposure and ritual prevention, clomipramine, and their combination in the treatment of obsessive-compulsive disorder. Am J Psychiatry, 162(1), 151-161.
Gava, I., Barbui, C., Aguglia, E., Carlino, D., Churchill, R., De Vanna, M., et al. (2007). Psychological treatments versus treatment as usual for obsessive compulsive disorder (OCD). Cochrane Database Syst Rev(2), CD005333.
Geller, D. A., Biederman, J., Stewart, S. E., Mullin, B., Martin, A., Spencer, T., et al. (2003). Which SSRI? A meta-analysis of pharmacotherapy trials in pediatric obsessive-compulsive disorder. Am J Psychiatry, 160(11), 1919-1928.
NICE, N. I. f. H. a. C. E. (2005).
岡嶋美代, & 原井宏明. (2008). 不安障害-update-強迫性障害 心療内科, 12(6), 457-464.
原井宏明. (2005). 行動療法の治療成績. In OCDの会 (Ed.), とらわれからの自由 No.1. 熊本: OCDの会.
原井宏明, 岡嶋美代, & 正木美奈. (2010). 薬をどう使い終わればよいか -抗うつ薬も止めるのが難しい−. 精神科治療学, 25(3), 347−352.
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