2012年4月11日水曜日

不妊症


増える不妊症

 赤ちゃんが欲しいのに、妊娠しない。最近そんな悩みを持つカップルが増えているといいます。以前から、日本では10組に一組は不妊症と言われてきました。避妊もせず、自然な性生活を送っていれば、2年以内に約8割の人が妊娠、第一子を設けると言われます。そこで、基本的には通常の性生活を送っていて2年以上妊娠しない状態で、医学的治療や指導を受ける必要のある方を不妊症と呼んでいます。それが、最近増加しているのは、女性の社会進出などライフスタイルの変化によって高齢で出産を望む人が増えたことが大きな原因のようです。
 妊娠に適した年齢は、医学が進歩した現在でも20代前半。卵子は、すでに胎児の間に作られ、一生の間に排卵する卵子が全て用意されています。これが、脳(間脳・下垂体)からのホルモンによって卵巣は刺激され卵胞は成熟し、毎月排卵されていくのです。つまり、23歳で排卵される卵子は、23年間卵巣の中で眠っていた卵子です。したがって、歳をとるほど卵子も古くなります。また卵巣の働きも衰えてきます。その結果、どこといって異常がなくても歳をとるほど「生理的な不妊」が増えてくるのです。
 実際に、不妊治療の現場では40代になると妊娠する率は20代後半の半分以下とも言われています。
 さらに、これに性感染症や子宮内膜症の増加が拍車をかける結果になっています。子宮内膜症(賢い患者学参照)は、子宮内膜の組織が子宮以外の部分にできて、それが増殖と剥離を繰り返す病気です。ひどくなると子宮や卵巣に癒着を起こしたり、卵管がふさがってしまうこともあります。しかし、こうした目に見える異常がなくても、子宮内膜症があると妊娠しにくくなることが知られています。そして、子宮内膜症も、妊娠出産数の減少や高齢出産の増加などによって、今増えている病気なのです。
 こうした原因が重なって、仕事も一段落、さて子供を作ろうとしたら不妊症だった、という人が増えているのです。赤ちゃんを望むならば、なるべく20代のうちに妊娠する、それは今も変わらない鉄則なのです。また、35歳を過ぎると妊娠しにくくなるので、最近は35歳以上で1年間妊娠しない場合は、この段階から不妊症の検査や治療などが開始されるようになりつつあります。


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妊娠の過程と不妊症

 かつては、不妊といえば女性側に原因があるかのように言われました。しかし、現在では男女とも原因はほぼ半々であることがわかってきました。妊娠は、排卵、排精、受精、着床という4つの経過をたどって成立します。この過程のどこに異常があっても不妊症になるのです。
 卵巣で眠っている卵子は、卵胞という袋にくるまれています。このうち数個が、脳下垂体から分泌される卵胞刺激ホルモン(FSH)の働きで成熟を始め、そのうち1個が成長。黄体化ホルモン(LH)の働きで卵胞が破れて卵子が卵巣の外に飛び出します。これが、排卵です。排卵された卵子は、卵管采というラッパのような器官から卵管にとりこまれ、卵管が太くなった部分(卵管膨大部)まで運ばれます。ここで、精子の到着を待つわけです。
 一方、腟の中に射精された精子は、子宮の入口を通って卵子が待つ卵管膨大部に向かいます。射精される精子は、数億ともいわれますが、そのうち卵子の元に到着できるものは、数十から数百個。長旅の間に元気のいい精子だけが生き残り、受精の資格を持つわけです。こうして卵管膨大部にたどりついた精子の中からさらに元気のいい精子が、卵子にとりつき、その周囲をおおう透明帯をやぶって卵子の表面に付着、卵細胞に入っていきます。これで受精が成立するのです。
 受精卵は、その後分割を繰り返しながら卵管を移動し、約1週間で子宮内膜に着床します。これで、妊娠が成立するわけです。

 不妊症の場合は、この過程のうちどこに原因があるのか、さまざまな検査が行われ、それに適した治療が行われることになります。

不妊症の検査

 不妊症の原因は、女性側にあることもあれば男性側にあることもあります。あるいは双方に問題がある場合もあります。ですから、不妊症の検査は、カップルがそろって受診するのがベストです。
 検査は、不妊症の原因を調べることを目的に、問診や内診、基礎体温、超音波検査、ホルモン検査(血液中)、卵管が詰まっていないかどうかを調べる検査、精液の検査などが行われます。これで、ほぼ目安が付くと、さらに詳しい精密検査が行われます。これには、腟から内視鏡を入れて行う検査や腹部にあけた小さな切開から腹腔鏡を挿入してお腹の中を調べる検査、ホルモンを注射して反応をみる検査などがあります。
 また、不妊を訴えて病院を受診した場合には、治療を行うために排卵期を調べる検査も行われます。これには、頸管粘液の量を調べる検査や尿や血液中に含まれる黄体化ホルモンの量を調べる検査、超音波で卵胞の大きさなどを調べる検査などがあります。
 検査の種類が多いので、ひととおり検査を終えるには1~2カ月かかることもあります。男性の側には、問診や尿検査、精液検査、などが行われ、必要な場合はさらに精密検査が行われます。

不妊症の原因・女性

 不妊症の原因はさまざまで、実際には複数の原因が重なっていることも少なくありません。
 
女性側の不妊原因
 女性側の原因として多いのは、・排卵障害、・卵管の障害、・子宮の問題、・子宮の入口にある子宮頸管の問題です。このうちとくに、多いのは、排卵障害と卵管の障害です。おもな病気には以下のようなものがあります。


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排卵障害

 排卵には、さまざまなホルモンが連携して働いています。卵胞が成熟するためには、脳下垂体から十分に卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌される必要があります。このホルモンの分泌を促すのが脳の視床下部から分泌されるゴナドトロピン放出ホルモン(Gn-RH)です。成熟した卵子の排卵を促すのは、脳下垂体から分泌される黄体化ホルモン(LH)です。そして、子宮内膜の着床準備には、卵巣中の卵胞から分泌される卵胞ホルモン(エストロゲン)や排卵後の卵胞から分泌される黄体化ホルモン(プロゲステロン)の働きが必要です。
 こうしたホルモンは互いに情報交換を行い、連携して排卵や着床の準備にあたっています。そのどこで障害が起きても、排卵に障害が出てくるのです。
 排卵障害の原因には、卵胞刺激ホルモンの分泌低下、乳汁分泌と排卵の抑制に働くプロラクチン(ホルモンの一種)の過剰(抗プロラクチン血症)などがあります。また、卵巣内に小さなのう胞がたくさんできる多のう胞性卵巣症候群(PCOS)でも排卵が起こらなくなります。
 排卵誘発剤やホルモン剤、プロラクチンの過剰分泌を抑える薬など、原因に応じて治療が行われます。

卵管の障害

 卵管が詰まったり、狭くなって精子や卵子、受精卵などが通れなくなった状態が、卵管障害です。クラミジアなどの性感染症によって卵管炎を起こしたり、子宮内膜症で卵管に癒着がおきてこうした状態になることもあります。
 軽い場合は、卵管の詰まりを調べる検査で通ってしまうこともあります。一般的には、お腹を開いて手術で狭くなった卵管の部分を切除したり、あるいは腹腔鏡を使って同じような手術が行われることもあります。最近では、腟から卵管に内視鏡を入れて、風船をふくらませながら卵管を広げる方法も行われています。こうした治療(卵管形成術)でも十分効果がなかったり、両方の卵管が閉じている場合には、あとでお話する体外受精・胚移植が選択されることもあります。

子宮や子宮頸管などの問題

 子宮筋腫や子宮線筋症、子宮内膜ポリープなどがあると、着床しにくくなることがあります。子宮内膜症も不妊の原因になる病気です。これらの病気があれば、手術やホルモン剤などによる治療が行われます。
 また、子宮内膜に働いて着床準備に働く黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きが不十分なのが、黄体機能不全です。これには黄体ホルモンの補充などが行われます。
 さらに、子宮頸部からは精子の移動を助ける頸管粘液が分泌されます。この粘液の状態が悪くても、精子が卵子のところまで到達できなくなります。また、中にはこの頸管粘液の中に精子に対する抗体ができてしまう人もいます。病原体に対するのと同じように抗体が精子を攻撃するので、精子は子宮の入口で死んでしまいます。こうした場合は粘液を増やすためのホルモン療法も行われますが、抗体がある場合は最初から体外受精が適応されることもあります。

不妊症の原因・男性

 男性側にも、不妊を起こすさまざまな原因が考えられます。精子を作れない造精機能障害、精子の通り道がふさがれてしまう精路通過障害、性交障害などが主なものですが、圧倒的に多いのは造精機能障害です。男性不妊の8割を占めると言われています。


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造精機能障害

 精子を作る精巣の働きに障害があって、健康な精子を十分に作れない状態です。無精子症や乏精子症など精子の数が少ない場合と精子の運動能力が低い精子無力症、奇形の精子が増えている奇形精子症があります。
 原因として、陰のうの静脈にコブ(精索静脈瘤)ができて血液の流れがとどこおり、精巣の温度があがって精細胞が障害される場合、成人後の耳下腺炎など高熱によって精細胞が障害された場合、さらの陰のう水腫や鼠径ヘルニアなどで精子を作る細胞が退化した場合、またこれらの結果男性のいくつかの血液中のホルモン(テストステロン、GnRH、LH、FSH)の連携に障害がある場合などもあります。
 ホルモン剤やビタミン剤、漢方薬などで精子を増やす治療が行われる他、精索静脈瘤の場合はとどこおった血液が逆流するのを防ぐ手術が行われます。しかし、効果は確実というわけではないので、これでうまく行かない場合は、人工受精や体外受精、あるいは顕微受精などに進むこともあります。

精路機能障害

 精子の通り道である精管がなかったり、つまった状態で、この場合は無精子症になります。精管をつなげたり、人工的に造ることもありますが、最近は状態のよい精子を選んで顕微受精を行う例が増えています。

性交障害

 精神的原因などから、性交ができない状態です。勃起障害に関しては効果のある治療薬(バイアグラ)も出ていますが、精神的な影響が大きいのでカウンセリングを行うのもいい方法です。あるいは、性交を必要としない人工受精という手段もあります。

不妊症の治療

 このように、不妊症といってもその原因によって、さまざまな治療法があります。また、とくに原因となる病気や障害が見つからない場合もあります。そこで、一般的に不妊治療では、こうした原因に対する治療を行いながら、積極的に妊娠を促すための治療を行うことになります。
 これにも、いくつかの段階があります。卵管が両方とも詰まっていたり、精子に対する抗体がある場合など、最初から体外受精や顕微受精など高度の治療法(生殖補助医療)を行う以外妊娠が難しいこともあります。しかし、ふつうはなるべく自然に近い方法から高度の治療法へと段階的に進んでいくのが一般的です。
 まず最初のステップは、タイミング療法です。これは、排卵日をきちんと調べて予測し、その日に合わせて性交渉を持つ方法です。一番、自然に近い方法です。それでも妊娠しない場合は、次のステップとして人工受精があります。人工受精というと、何か大変な治療を行うかのようなイメージを持つ人もあるでしょうが、これは排卵の時期に合わせて男性から採取した精子を子宮の奥に送り込む治療です。これだけで妊娠しない場合は、排卵促進剤も使われます。ここまでが、一般的な治療法です。
 次のステップ、つまり体外受精からが生殖補助医療になります。体外受精は、精子と卵子を取り出して受精させ、受精卵をある程度育ててから子宮の中にもどしてやる方法です。さらに、精子に受精するほどの元気がない場合は、精子を卵子の中に入れて、人工的に受精を成立させることもできるようになりました。これが、顕微受精です。
 それぞれの治療法について、もう少し詳しくお話しましょう。


タイミング療法

 排卵日に合わせて、基本的には毎月性交渉をもちます。これを半年かもう少し続けることで、妊娠する人も少なくありません。きちんとタイミング療法を実施している病院では、妊娠した人の半分以上がタイミング療法だったという報告もあります。

人工授精

 男性から採取(マスターベーションなどで採取)した精子の中から、元気のいいものを選び、女性の子宮の中に注入します。これだけのことでも、通常の性交渉に比べて妊娠の確率が2倍ぐらい高くなるといわれています。それでも妊娠しない時には、排卵誘発剤を使って、複数の卵子を排卵させ受精の確率を高めます。
 タイミング療法がうまく行かない場合以外にも精子が少なかったり、活発でない、子宮頸管粘液の状態が悪くて精子が子宮の方に入っていけないなどの時に選択されます。

体外受精・胚移植

 ここからが、高度の不妊治療になります。経済的な負担も大きく、肉体的な負担も少なくないこと、さらに生殖補助医療に進むかどうかという問題も含めて不妊治療のひとつの節目といえます。
 細かい方法は施設によって違いますが、基本的には次のような手順で行われます。まず、女性は毎日通院して排卵誘発剤の注射を受け、その後超音波による卵胞の大きさ確認や尿、血液中のホルモン検査などで卵胞の発育を確認していくこともあります。卵胞が十分に発育した時点でヒト絨毛性腺刺激ホルモン(hCG)を注射。その36時間後に、卵子を採取します。ふつうは、静脈麻酔をして膣から卵巣に注射針を刺して卵子を採取します。
 男性から精子を採取して元気な精子を選び、これを卵子にかけて受精させます。こうしてできた受精卵を培養し、4~8コに細胞分裂したところ(胚)で、子宮に入れます。2~3コの受精卵を戻すことが多いようです。これで着床を待つことになります。着床したかどうかは、2週間ほどでわかります。
 もし不成功に終わった場合、2カ月ほど休んでまたチャレンジすることも可能です。この際、また採卵から始める負担を軽減するために、最近では排卵誘発剤でたくさんの卵子がとれた場合は、受精卵を凍結保存しておいて使うことも可能になっています。この場合、もう少し早く再挑戦できます。
 体外受精では、他にもいろいろな方法が工夫されています。

顕微受精

 卵子を包む透明膜は案外丈夫で、これを破って卵子の実質まで到達、受精することは精子にとっては大仕事です。元気でイキのいい精子が少ないと、受精は成立しません。そこで、人工的に精子を卵子の実質の中に入れて、受精を成立させるのが、顕微受精です。
 採卵と元気のいい精子を選ぶところまでは、体外受精と同じです。その後、精子を一匹選んで卵子の細胞質の中に入れます。実際には、顕微鏡で見ながら精子を入れた細いガラスの針を卵子に差し込み、精子を注入します。こうしてできた受精卵を培養して、子宮に戻すわけです。
 これは、とくに元気のいい精子が少ないなど男性不妊に大きな光明をもたらした治療法です。無精子症の人でも、睾丸をすりつぶしてみると、半分ぐらいの人に精子が見つかるといいます。これを顕微受精に使うことも可能になってきました。


不妊治療と心のケア

 不妊治療を受けられる方には心のケアが大切です。特に、何度も人工受精や体外受精・胚移植をくりかえしていると、心身ともに疲れがでます。
 基礎体温を毎日つけていると、毎日一喜一憂して神経質になり、毎月の生理が来るとそのたびに落ち込んだりしがちです。治療を長年受けられている方の心の辛さや痛みは大きいのです。
 また、どこも検査で悪くないのにどうして出来ないのかと悩むものですが、医師と話し合ってしばらく休養期間をおくなり、気持ちの整理をするなり、生活のパターンを変えてみるなりの工夫も大切なのです。医師やコメジャル(看護師やカウンセラー)と話し合うことも大切で、そのようなシステムの整備が、少しずつ出来てきています。



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